第4編 「夢は叶わない」
——夢なんか叶わねぇよ
「諦めなければ夢は叶うだとか」
「努力すれば夢は叶うだとか」
そんなもんは全部嘘っぱちだよ
くだらねぇ
—お前、将来の夢はあるか?
いつか叶えたいもの
なんでもいいんだけどよ
プロ野球選手になりたいだとか
億万長者になりたいだとか
そうゆう憧れてるものっつうの
悪いこと言わねぇからやめときな
そいつは叶わねぇよ——
どれだけ強く願ってようが
それは叶わねぇ——
俺が保証するよ
なんだ?不服そうだな
頭ごなしに否定されても納得いかねぇってか?
まぁ言いたいことはわかるけどよ
だったら俺はこう問うぜ
お前—
——なりたいもんがあんのに
——なんで夢なんかみてんだ? ってな
俺の言ってる意味がわかるか?
本当に望むなら
夢なんて曖昧な言葉遣ってんじゃねぇって言ってんだよ
それを「夢」と呼んでるうちは絶対に叶わない
叶えられるのはそれを「目標」と呼んでるやつだけだ
夢ってのはずっと遠くにある憧れを
想像してるだけのもんだ
—妄想と言ってもいい
結果だけをイメージして
現実との距離がわからなくなってる
なりたい姿と現実とのギャップを認識して
ちゃんと距離を測れてるやつは
それを目標っていうんだよ
ゴールがあって
そこにたどり着くために
何が足りないのか
何をしなくちゃいけないのか
そうやって筋道と段階を組み立てて
一歩一歩進もうとしてるやつだけが
そこに辿り着けるんだよ
要するに
現実味を持ってるかってことだ
辿り着いた人は
来た道を振り返って
夢が叶った-
なんて言うのかもしれないけど
歩いてる最中は
そこは妄想じゃなくて
ちゃんとしたゴール(目標)だったはずだ
目瞑って妄想だけして歩いてるやつが
ゴールになんて辿り着けるもんかよ
なぁ、なんで眠ってみる「夢」と
お前の妄想の「夢」が
同じ字を書くか知ってるか?
夢ってのは夜に膨らむもんだからだよ
眠る前に夢を膨らませて
明日から頑張ろうなんて決意しても
朝目が覚めたら
そのイメージも高まってた気持ちもどっかに消えてて
いつもと変わらない怠惰な日常を繰り返す
お前も経験があるんじゃねぇのか?
そんなもんにしがみ付いてたら
なりたいもんになんてなれるわけねぇよな
——ベッドで夢みる暇があったら
——起きて目標に向かって行動しろってんだ
わかったらちゃんと目標を持って進むことだな
くだらない夢だの
つまらない詭弁だのに
現を抜かしてないでな
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