語り部

語り部

詭弁語

その存在には光も影もなく

その口には本音も建前も飾らず

その目には正義も悪も映らず

その脚は後も先も歩まず

その手は愚にも賢にも差し延べられず

ただ語り ただ紡ぎ ただ伝え

そして、ただ傍観する

行先知らずの導き手

老師

長きを行き 永きを生き

行き着き 生き尽く

果てに語られる言葉は

悟りの教えか それとも耄碌もうろくの妄言か

霞む道の歩み方を老馬の智をもって教え説く

傲岸姫

世は余がためにこそ存在する

傲岸不遜 傍若無人 高慢無礼

人並みでは見えぬ岐路の先も

遥か高みより見下ろす

隠す口元は些末な迷いも嘲笑う

心音

言葉はそこにあり

心はそばにある

共振 共鳴

正真正銘

純真由来の等身表現

道標

地あれば歩めぬ道理なし

進むも志 進まぬも志

手を取り 肩を貸し 背を押す

進む先にも道標

進まぬ傍らにも道標

月下美人

気高き花は夜に咲く

闇に迷い たたずむ足元を

月灯つきあかりのごとく照らし出す

寄り添い 語り 共にある

明日の陽が射すその時まで

その ことわりに則って

理に適えば 利が叶う

あいまいで 無秩序な世界の

見えない重さを秤にかける

揺れる針の不完全公式

水面

それはさながら波紋の如く

静かに広がり 確かに伝わり 心を揺する

無味 無色 無意 無力

絶無でありながら そこに在る

語る言葉に みなも波立つ

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